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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

良江「ねえ、あれ、あれ見てください。あれお父さんじゃないですか」
幸江「ええ、どれ、ああ、そうだ」
良江「隣に、女の人がいますよ」
幸江「ああ、ほんとうだ。誰だろう。見たことない人だ」
初江「ありゃ、完全に女だね」
幸江「そうね。もうどうしようもない」
良江「やっぱり、そういうことなんですね。お父さんは」
初江「そりゃ、そうよ。何で私らが生まれたと思う。あれを見れば理解できるよ」
良江「反省はしないんですね」
初江「あんた、なにいってんの。パパが女のことで反省するわけないじゃん」
幸江「もういいじゃん。私らは、パパに面倒見手もらえればそれでいいんじゃない。とやかく言うのはよしたほうがいいよ」
良江「ほんとうにそれでいいんですか。あの人が後がまで私達が追い出されると言うことだってあるかもしれませんよ」
幸江「ないない。そんなこと心配する必要ないよ。だって、弥生さんだっているんだよ。弥生さんを捨ててあの人とってことはないよ」
良江「幸江さんのお母さんて何をやっていた人なんですか」
幸江「ええ、あれ、私言わなかったっけ。女中よ。飲み屋の」
良江「それで、お父さんと知り合ったんですね」
幸江「そうなんじゃない。知らないけど」
良江「だから、そんな風にいい加減なんですね」
幸江「何よ、いい加減って」

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