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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

勘定奉行所の役人というのは、月番制で、そのための住居も与えられていたので、常に一緒に暮らしていたわけではなかったが、嫁にいく気もなく、妹は橋龍との関係を続けているのだ、紹介した身としては、いろいろ考えさせられてしまうのはしょうがない。親に説明がつかないというのもあるが、橋龍を責めるつもりはないのだ。そうなると、この問題を一弘自身がどう消化するのかというのは、とにかく、自分自身の心情の方が、弥生や橋龍よりも苦しかったかもしれない。ただ、それを、一弘は周りには一言もいうことはない。弥生が、自分の生き方を決めるのだから、それをただ、見守るだけなのだ。その一弘が、珍しく、橋龍に弥生の話をしたのだ。橋龍も、よほど、奉行所の話はしたくないのだろうなと、思うしかなかった。それも、平気で、批判すべき時は批判めいたことは言う一弘がそうなのだ、橋龍も探りを入れるどころか、奉行所の話はとてもじゃないが、できないなと思った。しかし、その話をしだしたのは、一弘の方からだった。

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