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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

一弘「どうした。今日は、勘定方の探りにでも来たのかと思ったが、そんなことはないのか」
橋龍「ははは、、、まあ、お互い立場があるからね、版屋のほうでは、騒いではいるね」
一弘「そうだろうな。不正というのは難しい。今にはじまった訳じゃない。多くの人間が間違っているだろうとは思っても、それを変えることはできない。誰がそれを変えるべきなのかも私には分からない。ただ、奉行所でも、多くの人間が飲み込んだ異物をどうすべきかと言うことは考え始めている」
橋龍「しかし、そうなると君は大変だな。単なる役人ではない。奉行所の幹部だからね」
一弘「そういうこといわれるのは、怖いな。これからどうなるかは誰にも分からない。佐野様にしたって、そうだ。あれで済んだからいいようなもの、これからどういった待遇を受けていくのかは分からない」
橋龍「そうだな。君は私らとは違って、守らなくてはいけないものもあるね」
一弘「私は、佐野様の下で働いていた。騒いだ連中も、私は、何人かは知っている。もちろん、騒いだといっても、意見書を出しただけだ。改革の。もちろん、佐野様は、覚悟を決めていたのかもしれないが、それを老中の松平様だけではなく、多くの人間が知ってしまった。なぜそれが漏れたのかは分からないが、そうなってしまえば、こういったことにもなるだろう。それほど酷い内容のものではなかったという話だ。摘発などという大げさなものではなくて、あくまで、財政を均衡させるためのもでしかなかった。ただ、その中には、都合の悪いものも含まれてたんだろうね、見せしめにされたということだろう」

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