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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

初江「ここじゃない」
幸江「そうみたいね。やっぱり凄いわ、旗本ぐらいになると、れっきとしたお屋敷じゃない」
良江「そうですね。弥生さんも、お父さんなんかとつきあわなければ、立派なお姫様なのに」
幸江「そうよね。なんだろうね。女の悲しい性を感じるね」
初江「そんなのどうでもいいよ。とにかく、聞いてきなさいよ」
幸江「ええ、何よ。初江ちゃんが、どうしてもっていうからついてきたんだよ。初江ちゃんが行くべきだよ」
初江「そうなんだけどさ。なんか、これだけのお屋敷見ると入りづらいね」
幸江「なにいってんのよ。ここまでくるのにどれだけ時間かかっていると思っているの。早いところ話をして帰らないと、すぐ暗くなっちゃうよ」
初江「分かってるよ」
とはいったものの、なんか初江はぐずぐずしていた。そこに、裏口というわけではないが、横の方へ、子供が入っていくのが見えた。
良江「あれって、習字をならいに来ている人たちじゃないですか」
幸江「ああ本当だ。あそこにきっといるよ弥生さん」
初江「よかった。じゃあ、あっちから入ろう」
3人は、恐る恐る戸を開けて中を見た。子供たちが10人ぐらい弥生に教わっているのが見えた。それでも、なかなかそこから、3人は入ることができず、押し合っていた。幸江が、誘ったんだから初江ちゃんが何とかしなさいよといって、初江を前に突き飛ばした。

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