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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

初江「いたっ」そういって、手をついた初江を弥生は見つけた。
弥生「どうしたの、あなた」
初江「いやあ、その辺通ったらなんか、弥生さんの家みたいだったから、ちょっと寄っていこうかなと思って」
弥生「ええ、こんなところまで、一人で来たの」
初江「いいえ」
幸江「すみません。私達も」
弥生「なんだ、3人できたのか。わざわざここまで」
初江「ごめんなさい」
弥生「で、何」
初江が切り出すのを2人はまっていたが、初江は、ここにくるまでは威勢が良かったが、いざきてみると、一番頼りなかった。もじもじして、何もいえないでいた。
幸江「ほら、前に、弥生さん、習字教えてくれるっていったじゃないですか」
弥生「ああ、いったかもしんない。でもそれだったら、向こうで教えてあげるよ。ここまでくる必要なかったのに」
幸江「そうですよね」
良江「それにしても、立派なお屋敷です。私もこんなお家に生まれたかった」
初江「なにいってんのよ。あんたはおんぼろ屋敷が似合ってるよ」
良江「それは、また私のお母さんの悪口ですか。私のお母さんは、初江さんのお母さんとは違いますよ。お父さんのことをずっと愛していたんです」
初江「でも、パパがあれじゃねえ」
幸江「まあ、いいじゃない、そんな話」
弥生は、こういった話は聞かないことにはしてるが、それでもなんか断片が見えるような話だった。それでも、知らん顔はした。
弥生「何、あがりなさいよ」
幸江「いいんですか」
弥生「いいよ。せっかく来たんだから、空いてるところに座って」
幸江「それじゃ、おじゃまします」
そういった、3人は、席に着いた。弥生は、道具を一式そろえてくれて、墨まで擦ってくれた。3人は、みんなと一緒に、道理という字を書いた。寺子屋でも、習字というのは習うが、月に4度ぐらいだから、それほどやるわけではない。この時代は、書を書くというのは、たしなみとして重要だったので、わざわざ書を子供たちは習っていた。一番、習い事の中でも、習う子供が多かったかもしれない。

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