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パパはかわら版

第2章 パパはかわら版A

橋龍「このままだと、財政は、ひどいことになって、税金が上がるのは間違いない。幕府は、そんなことはないといっているが、これだけ財政が悪くなっているんだ、そんなことはないということはない。まず必要なのは、不正をただすことだ。これは幕政はじまって以来、常に問題になってきたが、いっこうに改善されることはない。それをなしに、増税だなのだと、いっていいはずもない。税率は、5公5民にまた戻ることもあるんだ。これに黙っているのは、横暴を許すことになるだけだ」

そうだそうだという声に混じって、がんばれパパという声が聞こえたのには、橋龍は驚いた。聴衆を見回して、3人がいるのを確認して、あぜんとするだけだった。橋龍は、目配せで、何をしにきたのか問いかけたが、この3人にそんなことが通用するはずもなかった。パパ、パパと連呼する3人をにらみつけて、その思惑を思いはばかった。版説を終えて、3人を呼びつけた。

橋龍「お前ら、ここに何しにきたんだ」
初江たまたまよ。パパが版説してたから、見てただけ」
橋龍「嘘付け。お前ら、こんなことをするのを私が一番嫌いなのは知っているだろう」
幸江「私達、まだきたばかりで、パパの好き嫌いなんて分からないけど、嫌なら、もうこないから安心して」
橋龍「私は、君らが、家にいるだけでも、ストレスがたまってんだ。これ以上、迷惑かけるんだったら、私はもう本当に知らないからな」
幸江「だから、もう版説のじゃまはしません」
初江「ほんと、しつこいのよね。私らは、ただ散歩がてら、聞いていただけよ。そんな怒る必要ないでしょ」

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