テキストサイズ

パパはかわら版

第7章 パパはかわら版 F

勇作「僕も引けないね。僕だって、一生懸命頼んだんだ。君らだって知ってるだろう」
初江「あのね、ここはミッキーを見るためにくるところなんだよ」
勇作「そんなことないよ。僕は動物が見たいんだよ」
勇一「まあ、いいじゃないか。両方見ればいいんだよ」
幸江「これだけ人がいて、本当にそんなことできるんですか」
勇一「大丈夫だと思うよ。とにかく入っていこう」
入場券は、もう前売りで買っていたので、入場券売場で並んでいる人たちを横目に見ながら、入っていった。そして、ミッキーの出る芝居小屋にいってみると、やはり、一時から二時は待たなければいけないというのが分かった。
時枝「これは大変ね」
勇作「そうだろう。これで、動物を見に行くしかなくなったね」
初江「いいですよ。私は、一時でも二時でも待ちます」
良江「本当に待てるんですか」
初江「なによ」
良江「いいえ、初江さん一番こらえ性ないですからね」
初江「あんた、こんなところまで来て、喧嘩売るの」
良江「幸江ちゃんは、どうします」
幸江「二時とかになると、正直待ちくたびれちゃうね」
勇作「そうだよ。よし、動物園に行こう」
初江「幸江ちゃん、あんた裏切るの。好きな男に肩入れする女ってどうなのかしら。女に友情はないの」
幸江「ちょっと、それってどういうこと。私は、正直に感想をいっただけです」
初江「そうは見えない。私がいたから、ここへはこれたんだよ」
幸江「だからって、二時も待って、ミッキーだけ見て帰るだけで本当にいいの」
初江「ええ、かまわないの」
そういったところに、事情でも聞きに行っていたのか、勇一が帰ってきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ