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パパはかわら版

第7章 パパはかわら版 F

最初に見たのはキリンだった。係員がいて説明もしてくれた。
初江「なによ、これ首でしょ」
係員1「はい、そうです。長いのは首です」
幸江「へえ、珍しい」
時枝「何で、こんなに首が長いの」
係員1「高い木の葉っぱを食べるんです」
時枝「それで、こんなに首が長くなったのね」
係員1「さあ、分かりませんが、性格はおとなしいんですよ。ライオンのようではありませんね」
勇作「ライオン、、」
幸江「ライオンて、そんなに怖いんですか」
係員1「はい。ライオンは、他の動物を食べて生きてますからね。それでも、鎖で繋がれていますから安心してください」
幸江「ねえ、私達キリンに餌やってもいいですか」
係員1「ええ、かまいませんが、怪我をしても責任は持てませんよ。だいたいの人は、そういうと、やりませんね。かむこともありますから、やはり危険なんです」
幸江「ああ、そうなんですか」
初江「あんたも、物好きね。私はだめだわ」
良江「初江さん、気が強い割には臆病ですからね」
初江「よく、あんたそんなこといえるね。だったら、あんたやりなさいよ」
良江「いいえ、私も遠慮しておきます」
初江「それじゃ、勇作だね、男の子なんだから」
勇作「ええ、僕嫌だよ」
時枝「そうね、何かあったら大変だから、止めておきなさい」
幸江「いいよ、私がやるから」
時枝「幸江ちゃん、やらないほうがいいわよ」
幸江「大丈夫ですよ。係員さんと一緒にやりますから。いいですか」
係員1「いいですよ」
初江「本当、大丈夫なの」
良江「お嫁にいけなくなりますよ」
幸江「大丈夫、大丈夫」
幸江が、ハッパを差し出したのを見て、キリンがそれを、じっと見ていた。キリンは、みるみる幸江が持っているハッパに近づいてきて、じろっと見ながら口にくわえた。その瞬間、子供たちは、おうっと、感嘆の声を上げた。
良江「凄いですよ。今の見ました。顔がこんなにありましたよ」
初江「うん、うん」
幸江「でも、かわいい顔してた」

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