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パパはかわら版

第7章 パパはかわら版 F

A「大丈夫かい」
B「いやあ、綺麗な奥さんじゃないか」
C「なんか子供に突き落とされたみたい」
D「ええ、ほんとうかい」
そんな声が時枝には聞こえてきたような気がした。まあ、なんと無責任な話だが、毅然として船員に引き上げてもらうあたりは、ちょっとそのあたりのおばちゃんとは違っていた。それだけで、女性の上品さを感じさせたのだ。
船員「だからいったんですよ。暴れては困るって」
時枝「すいませんね」
船員「いいえ、大丈夫ですか」
時枝「ええ」
初江「ほんとうにすみませんでした」
時枝「いいのよ。悪いのは勇作だから。どうしたの勇作、私は止めなさいっていったわよね」
勇作「こいつらが、俺をバカにしたからだよ」
時枝「そんなのはどうでもいいよ。私は泳げるからいいけど、もし他の子が落ちたら、大変なことになるのよ。そんなこともわからないの」
勇作「なんだよ、俺ばっかり」
時枝「もう、あんたもいつまでもは甘えてられないのよ。まあ、いいわ。すいませんね、船員さん。いってもらえますか」
船員「はい、分かりました」
周りから、大変だな、でもあんまりおこんなよというような声がした。時枝は軽くお辞儀をしたようにも見えた。それで船は、戻っていったのだ。ミッキーのところでは、勇作が順番待ちをしていた。時枝は、さっき起きたことを勇一にいった。そして、とりあえず、時枝が着替えと食事を先にすることになった。旅支度などが置いてあるところへ、時枝はいった。

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