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パパはかわら版

第2章 パパはかわら版A

橋龍「いいよ、そんなことしなくて。あの子たちに、武家の娘と瓦版のつきあいなんて、見せなくていい。わざわざ、大人が見せつけるものじゃない」
弥生「ええやっぱりいるんだ、家に。それじゃ、私帰るわ」
橋龍「何で、帰っちゃうの」
弥生「だって、子供たちのところへ帰るんでしょ」
橋龍「いいんだよ。朝までに帰れば。無理矢理、押しつけられたんだ」
弥生「無理矢理って」
橋龍「ええと、、、御伊勢参り」
弥生「はあ、親戚中で」
橋龍「そう、女の子だけ預かったんだ」
弥生「あ~あ、もう帰る」
橋龍「なんだよ。いいだろ」
弥生「連れ込み旅館なんていやよ。今日は、とにかく、帰ります」

橋龍は、困ったことになったなと、弥生を見送ったが、それよりも、あの3人娘なんかと、話されでもしたら、更にやっかいなことになるので、とりあえずは安心した。今日は、弥生に愛想を尽かされたので、子供たちの顔を見るよりも、飲みに行くことにした。橋龍は、平凡屋の連中と御茶屋で芸者をあげて騒ぐこともあったが、今日は、弥生にふられてからというのもあって、一人で行くことにした。一杯飲み屋にもいろいろなところがあって、知り合いの版屋仲間が集まるところや高級酒をおいて女中をあてがうところなどもあった。橋龍は、同業者の版屋仲間とは付き合いがなかったわけでもなかったが、一緒に酒を交わすようなことはそれほどはしなかった。それは、飲むときはどうしても芸者や女中あいてでないと、気乗りしないというのが、そうさせていた一番の原因だったのかもしれない。とにかく、よくいく飲み屋に行くことにした。

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