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パパはかわら版

第2章 パパはかわら版A

良江「知らない人のうちに行っていいんですか」
初江「奥さんが、パパのこと知っているんだって。だから大丈夫だって」
幸江「良江ちゃんも行こうよ」
良江「私はいいです」
初江「なに、むくれてんのよ。もういいわ。歯ぎしりは我慢する。眠れなかったら、耳栓するから」
良江「そういう問題じゃないんです。初江さんが我慢してくれても、問題は解決しません」
初江「気にするなっていってるのよ」
良江「初江さんは、自分のことじゃないからそんなことがいえるんです。もし自分の歯ぎしりがうるさかったら、そんなことはいえませんよ。私は、がさつな初江さんとちがって、ナイーヴなんです」
初江「あんた、なんていった、私のことがさつっていったわね」
良江「え~え、いいましたよ」
初江「まあね、あんたがそこまで落ち込むのも分かるよ。もし、私があんたの立場だったら、そりゃ、落ち込むわ。でもねー、あんたにそこまで言われる筋合いないわよ。歯ぎしり女に」
幸江「もう、いいじゃない」
良江「よくありませんよ。私は本気で怒りましたよ」
初江「怒るって何よ。原因は自分でしょ。一生落ち込んでろ」
幸江「はい、終わりにしよう。初江ちゃん行くよ」
初江「決着つけてから行くから、先いってて」
幸江「いいじゃない、もう。私は、分かるよ。良江ちゃんが落ち込むのは。そりゃ、歯ぎしりはきついよ。だから、もう行こう、ね、ね」

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