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パパはかわら版

第2章 パパはかわら版A

3人は、野菜を洗ってから、切り分けた。釜に、大きな鍋を用意した。勇一がだしの取り方を教えてくれた。そして、しょうゆやみりんで味付けをして、鍋に野菜と肉を入れていった。そして20分ほどで、肉鍋はできあがった。そのころ、橋龍は家に帰ってきていた。版屋仲間に飲みに誘われたが、寝不足を理由に断ったのだ。帰りには、おにぎりと惣菜を一応、子供たちの分も買ってきた。子供たちは、自分で料理を作ると言っていたが、どうせろくなものも作れないだろうと、ふんでいた。もちろん、それに手をつけるつもりもなかったのだが、自分のだけというわけにもいかないので、子供たちの分も用意したのだ。

橋龍「あれ、どうしたんだい。良江君だけか、家にいるのは。他の2人はどうした」
良江「隣の家に、料理を教わりに行きました」
橋龍「なにー、あいつら、勝手なことばっかりしやがって。それで、良江君はどうしたの。どっか体調でも悪いのか」
良江「なんでもありません」
橋龍「とにかく、行ってくる」

そういって、橋龍は、隣の家にいった。

橋龍「こんばんわ」
勇一「ああ、橋龍さん、帰ってきたんですか」
橋龍「ええ、たった今。私の親戚の子がおじゃましているそうで、すみません」
幸江は、パパと言いかけたが、「おじさん、帰ってきたの」
橋龍「君たち、だめじゃないか。よその家で、料理を教わるんて、非常識だ。さあ、帰ろう」
勇一「まあ、橋龍さん、いいじゃないですか。みんなで肉鍋を作りましたが、一緒に召し上がっていってください」
初江「そうよ。大変だったんだから。時間かけて作ったんだから、食べなかったら帰れないよ」
橋龍「そうはいかないよ。君ら、そんな簡単に人に甘えていいというもんじゃないんだよ。もうこれ以上は、迷惑になるから、遠慮しなさい」
勇作「なんだよ、おじさんいいじゃないか。僕の顔に免じて」

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