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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

弥生「どうしても私には、あわせたくないみたいね。だっておかしいでしょ。預かっている親戚の子にあわせたくないなんて」
橋龍「分かった。分かったよ。だったら今度、今度にしよう」
弥生「今度」
橋龍「いつか、あわせるよ。今日は、もう遅いから。子供たちも寝る時間だ」
弥生「いつかね。まあいいわ。とにかく、あわせてはもらえるのね」
橋龍「ああ。もうこの話はよそう。あいつらのことは。それよりこっちにおいでよ」
弥生「私は、今日はもう帰る」
橋龍「ええ、もう」
弥生「それじゃね」

弥生に子供のことを持ち出されたのには、正直頭が痛かった。橋龍は、できるだけなんとか引き延ばして、あわせないようにして、そのあいだに問題を解決するしかないなと思った。良江の母親は、横浜なのでともかく、幸江と初江のほうは、自分でもなんとか出きそうなので、早めに何とかするしかないなと思った。とりあえず、3日後の休日に自分で有楽町と四谷にいくことにした。ただ、それでも、果たして、自分で解決できる問題かどうか、考えれば考えるほど自信はなかった。3人とも実際に、母親がいないのだ。身元を調べたぐらいで、解決するはずもないことぐらいは分かりそうなものだが、楽観的な男なのか、それとも、ばれたらばれたと、割り切ってものを考えているのか、成り行き任せにしているところが波乱を巻き起こした原因にもなっているのだろう。弥生がいなくなって、橋龍は家路についた。

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