テキストサイズ

パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

日本では、中国や韓国とは違い、朱子学以外の学問も盛んに行われていたために、いろいろな学問、学派が共存し、それがこの時代の繁栄を支えていたといっても言い過ぎではないだろう。元々、朱子学は大陸から渡ってきた学問で、国とは何か、秩序とは何かを問う要素が多かったが、どちらかというと、実の学問である蘭学が入ってきてからは、朱子学も実の学問に変革していった。ただ、こういった議論とは別に幕府というのは存在しているところがあって、腐敗の温床にはどうしてもなりやすかった。この時代も、酒井大老の就任以来、そういった雰囲気に包まれていたのだった。瓦版では、腐敗に切れ込むというのは、難しく、財政再建という立場から、切り込むしかなかった。しかしそれは、結局は、不正をただすこと以外には、解決のしようのないものでもあった。そのための議論というのは、以前から平凡屋でもしつくされてきた。責任者であった有吉は、橋龍のなだめ役立ったが、なかなか橋龍という男は、はいそうですかという具合に版屋の方針に従う輩ではなかったので、有吉は、苦心する事が多かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ