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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

きっと京子には、あまり分からない話だったろう。そうなのだ。この店から、飲み屋の女中の接待だけで飲ますことを始めたのだ。それが、一つのブームになり、今では、女郎は女郎、芸者は芸者、飲み屋の女中は女中と住み分けができていた。そのブームというのは、20年ぐらい前の話で、この店の先代の時代だった。橋龍は、酔いが回ってきていた。この間は、祐子に手を焼いて、酔うに酔えなかったが、今日はそれとは全く違って、とにかく心地が良かった。

橋龍「京子ちゃん、全然飲んでいないじゃないか」
京子「すみません。私は、それほど飲めませんから」
橋龍「だめ、だめ、だめ、飲まない女中は、出世できないよ」
京子「それじゃ、もう一杯だけ」
橋龍「そう、そう、そう」
京子は、なんとか最後だと思い一杯体に押し込んだが、橋龍は更に進めた。
橋龍「酒はね。飲めるだけ飲むもんなんだよ。飲まない人は、ここにいちゃだめ。京子ちゃんが飲めば、私も飲む。私が飲めば、京子ちゃんも飲む。京子ちゃんは、これからそうやって、立派な女中にならなくちゃいけないんだ。酔っぱらいの相手してるって思ったらだめ。自分も酔わないと。さあ、いきなさいよ」
京子「あたしはでも、もう、、」

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