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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

次の日の朝になって、橋龍は、有楽町の幸江の長屋に行くことにした。別に3人を探しにというわけでもなかったのだが、とにかく、自分で、幸江のことも調べることにした。ちょうどそのころ、幸江の長屋では、3人が家を出てきたことを後悔し始めていた。結局は、橋龍のところ以外どこにもいくところがなかったのだ。

良江「どうするんですか。私は、お家に帰りたい。お父さんに謝ります」
初江「あんた、ころころ態度が変わるね。この間は、ぼろくそにいってたくせに。あんたみたいな人間が一番信用できないって、分かった」
幸江「でも、ほんとうにどうする。もうあんまりお金がないのよねえ」
良江「昨日、お寿司を食べたからですよ。家出して、お寿司なんか食べていたら、なくなるのあたりまえじゃないですか」
初江「あんただって、食べたいっていったじゃない」
幸江「どうする、今日の分ぐらいは何とかなるけど、明日の分はもうないね。帰るなら今のうちってことか」
良江「そうですよ。もう帰りましょう」
初江「帰るっていったて、追い出されたって言うより、私達自分から出てきたのよ。どういう顔して戻るのよ」
幸江「そうなのよねえ。自分から出てきたのは、まずかったわね。あそこは、無理矢理追い出された形にしておいた方が、帰りやすかったのよね」
良江「もういいですよ。私は謝ります。そうすればきっと、お父さんは許してくれますよ」
初江「あ、そうだ。勇作んちに行くっていうのはどう。あそこだったら、パパもお隣さんの手前、帰ろうっていうしかないんじゃない」
幸江「ああ、それいいかも。私は、それに乗る」
良江「私は、帰るんだったら、なんでもいいですけど」
初江「あんたは、パパにあっても、黙ってなさいよ。すぐ謝ったら、私達立場ないんだから」
良江「私は、謝りますよ。どう考えても悪いのは私達でした。何度か頼めば、きっとお父さんも分かってくれると思います。寺子屋にも入れてくれると思います」
幸江「まあ、いいじゃない。とにかく、帰ろう」

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