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パパはかわら版

第4章 パパはかわら版C

平凡屋の方では、いつも通り打ち合わせをした。瓦版の内容は、3枚、2つ折りだったので、今の新聞に比べると、かなり、情報量は少なかったが、それでも、記事を埋めるだけでも、10人以上の手はかかった。だいたいが、町奉行所と、勘定奉行所への取材に人手を取られたが、何人かは、江戸の情報を集めたり、知識人への取材をしたりしていた。この時代の一面を飾るのは、人情ものや、色恋もの、人切りなどだったが、平凡屋の場合は、黄色版があったので、色恋ものを扱うよりは、かなり堅い感じの話題の方が多かった。そのなかでも、財政、汚職には力を入れていたが、最近は、幕府の検閲が始まるなどして、なかなか汚職についての話題というのは、書きづらくなっていた。そのために、逆に財政に力を入れることになった。この時代の財政というと、吉宗公以来、質素倹約というのが決まりで、これは、商家にとっては、都合が悪いように見えるが、意外と、それを支持する商売人も多かったのだ。もちろん、札差しなどは、景気が悪いときでも、商売になったが、それも行き過ぎると、逆に採算がとれなくなったり、幕府からの規制がかかったりで、ほどというのも彼らにもあった。橋龍などは、もちろん財政再建には、積極的に発言したが、大規模な改革で、風俗にまで、その影響がでるというのは、それほどいいとは思っていない。そのあたりは、ほどほどにというか、自分が程々に楽しんでいるのだから、必要悪のように考えていたのだろうか。それとも、それこそが人生の楽しみと思っていたかもしれない。

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