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パパはかわら版

第4章 パパはかわら版C

橋龍「そうか」
初江「でも、あの羊羹おいしかったね」
良江「そうですね」
初江「あんた、もう死んでもいいっていってなかったっけ」
良江「いってませんよ。それぐらいおいしいとはいいましたけど」
初江「まあいいけど。それにしても、あの人綺麗だった」
幸江「ほんとう。どういう関係なんですか」
橋龍「どういう関係って、ただの知り合いだよ。お兄さんを知っているんだ。頼まれて、羊羹を持ってきたんだろう」
初江「でも、それだったら、何話してもかまわないじゃない」
橋龍「そういうわけにはいかないよ。君らには分からない。立場っていうのがあるんだ」
良江「あの人と結婚するなんてことないですよね」
橋龍「ないよ」
良江「もし、そうなったら、私達どうなるんですか」
橋龍「だから、そんなことないよ。大体あの人は、お侍の娘さんだ。私と結婚する身分じゃない」
良江「ええ、今時そんなことあるんですか。私が知っている人で、結婚している人いますよ」
橋龍「あそこの家は、旗本だ。身分が全然違うんだ」
良江「そうですか。それはよかった」
橋龍「ん」
初江「でも、どうやったら、あんなに綺麗になるんだろうね」
橋龍「ははは、君らじゃ無理だよ」
初江「パパの子なのにね」
橋龍「、、、」
幸江「でも面白い人だったよ。すぐ仲良くなれた」
初江「今度来なさいっていわれた。書を教えてるんだって」
幸江「いってもいいでしょ」
橋龍「だめだ。迷惑がかかる」
幸江「いいじゃない。きっとただで教えてくれるよ」
橋龍「そういう問題じゃないんだ」
初江「そういえば、あの人。親戚中で御伊勢参りでもしてるのなんていってたよね」
幸江「いってたね。そんなのあり得るはずないのに」
橋龍「お前ら、なんていったんだ」
初江「ええ、なにを」
橋龍「だから、御伊勢参りにいっているっていったんだろう」
初江「いうわけないじゃん。そんなこと」
橋龍「なんにも話してないっていったろう、さっき」
初江「だから、いっていないよ。御伊勢参りにいっているなんて」

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