
ショタコイ
第4章 手を伸ばせば、光に届きそうな心地だけ残った。
口の中に、しょっぱいツーンとした味が広がる。
身体中の痣の位置を探し、自分を慈しむように、由は自らを撫でた。
唇を噛みしめ、由は泣きそうなのを必死に堪えた。
そして、母が帰宅するまでに、長袖に着替えて、傷を隠したり、唇の傷にバンソーコーを貼った。
30分後、疲れている様子の母に、
「…おやすみ」
と笑いかけて、由は自室に入った。
布団の中でようやく、涙を流せるようになった由は、声を出さずに泣いた。
母は、自分に目もくれなかった。
