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天海有紀編

第1章 1

そう考えると憂鬱はまた大きくなった。有紀は、オフィスを出ると、上の自室に戻って、家庭の医学を広げていた。更年期の項を入念に調べてみた。まず、目に入ってきた言葉は、閉経を迎えるとという言葉だった。ということは、私はもう子供が産めないってことと思った瞬間。立ちくらみのようにめまいがして、倒れそうになってしまった。たまたま座っていたからよかったようなものの、もし立っていたら倒れていたかもしれなかった。しかし、気力を振り絞って、先を読んだ。ホルモンの異常が脳に影響を与えて、それが月経不順や体にさまざまな傷害を引き起こすというものだった。確かに、月経不順というのは、当たっていた。それに、体調も悪い。そこまで読んで、半ば呆然となったが、それでも、先を読み進んだ。体調が悪くなると起こる症状などが書かれていた。何となく当たっているような気がしてしまう。子供を産んで更年期になるとこういった症状になるのは、よくあることで、気にしすぎるのはよくないと書いてあった。最後には、オーガズム不全というのも書いてあった。達してないわよ。それに子供も生んでないと思ったが、涙がこぼれそうな自分を当分は立て直せそうにはなかった。

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