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天海有紀編

第1章 1

次の日は、雑誌の取材が入っていた。今は、それほど忙しくないので、そういうときに月に2,3度取材を受けるというのは、いつものことだった。ドラマは、先月終わったばかりで、当分は、忙しい仕事というのはなかったが、それでも、来週からは、2時間のスペシャルドラマの撮影は待っていた。雑誌の取材というのは、いつも同じようなものだ。切り口が少し違うだけで、聞いてくることは、仕事のこと、恋愛のことがほとんどだった。後は、番宣のような場合とそうでないときがあるだけだった。40を過ぎて独身となると、どうしても結婚の話をさせられることが多かった。有紀は、だいたいいつも、結婚はしたいと思っているんですよ、でも、タイミングがねといっていた。今回も、都内のスタジオでの取材だったが、そこには、やたらと光った照明とレストランにあるようなテーブルに料理がずらりと並んでいた。こういうのは、有紀は、嫌いなタイプで、それなら、レストランでやって欲しいとは思うのだが、そんなことで文句を言うことはもちろんない。肩肘をついて、質問に答えていた。

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