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二度目の恋

第2章 臆病な自分と、優しい彼と

思い出したくないセリフが脳内で再生された。


カップを持つ手が震えてるのが分かる。

「…ごめんね」


かおるは震えるかなみの手をそっと包む。


「…事情知ってるのに責めてるね、私」

「そんなこと…」


ないです、と言い掛けたとき、鼻の奥がツンとする。


ダメだ。泣きそう。

涙がこぼれないよう唇を噛み締めて、こらえる。


「…ただね、コレだけは分かって欲しいの。世の中、大宮みたいな奴ばかりじゃないよ」


「…」


「それに、マル君はかなみを大切に想ってる、絶対。誰が見ても分かるよ」


かおるはかなみの頭をなでながら、諭すように言った。


「…立ち止まったままじゃ、前に行けないよ。…ね。」


かなみは小さく肯くだけしか出来なかった。

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