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二度目の恋

第3章 前触れ

自分では言い聞かせていたつもりが、バレバレだったらしい。


「…じゃ、梨本さんにはまたオレから言っとくよ。
なぁ…マル」


打ち合わせ後、同期の松本翔が和也の顔をじっと見る。


「…なんだよ?」


「…お前、今日例の彼女とデートだろ」

「…ブッ!」


その瞬間、和也は飲みかけたお茶を吹き出してしまった。


「…分かり易いな。ほら、コレ使えよ」

笑いを堪えながら翔はティッシュを渡す。


「…出てたか?」


「…マルの顔がいつも以上に緩んでたからな。良かったな、今回設計担当がオレで」


「…ほっとけよ」


ムッとした表情で和也は机を拭く。


「いいじゃん。それだけいい恋愛してるって事だし。羨ましいよ」


翔はそう言って、PCの電源を落とし、片付けを始める。


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