偽りの桜
第1章 生かされた命
「あっ…ご、ご迷惑かけて…すみませんでした…」
隣人は、謝ってはきたものの
誠意の欠片も感じとれなかった。
「おい隣人、騒音の件は許してやる。そんな事より何でこんなマネをしてたんだ」
「いや、何でもないんです…もう大丈夫ですから…」
「何でもないわけないだろ、こんなあからさまな自殺現場を目の当たりにして、気をつけて下さいねーなんて帰れるか!」
「も、もう平気ですから…」
俺はこの隣人の対応に凄まじい程の温度差を感じ、空気読めよ的な雰囲気になっている事に腹が立って仕方なかった。
「これだから今時の日本人は嫌いだ」
「あの…」
「なんだ?」
「日本の方じゃないんですか?」
俺はこの問いに食い気味に答えた。
「日本人だよ、日本人。俺からすれば今時の日本人の方が日本人に見えねぇ」
「はぁ…」
「いいか、よく聞け。日本人ってのはな、元々もっと強くて逞しい、言うなりゃ戦闘民族なんだよ。それなのに、今時の日本人ときたら腰抜けばっかりで、この国も自殺大国なんて呼ばれてやがる」
「はぁ…」
「つまりだ、てめーもアメリカにやられてんだよ。」
「アメリカ…ですか…」
「日本弱体化計画だよ、日本はアメリカにやられてんだよ」