偽りの桜
第1章 生かされた命
隣人はポカンとし表情を浮かべた。
「そうなんですか…」
「そうなんだよ。それに、さすがのお前でも神風特攻隊は知ってるだろ」
「あの太平洋戦争での体当たり作戦ですか」
「大東亜戦争だ。まぁいい、特攻作戦は作戦としてどうであれ命の使い方を教えてくれる」
「でもあれは軍の命令で死ななきゃいけない自爆攻撃でしょ」
「確かにそうだ、だが軍の命令だからということだけで二十歳そこらの若者達が本当に死を覚悟出来たと思うか」
「えっ…」
「彼らを突き動かしたのは大事な人達を守りたいという気持ちに他ならない。その為に祖国を守る盾となったんだ」
「…」
「その大事な人達っていうのが家族や仲間、その子孫である俺達なんだよ」
「…」
「そんな『生かされた命』を粗末に扱う事は先人達の死を無駄にする事だ。そんな事はあってはいけないんだよ」
「…」
少しの沈黙…。
何だか呆気にとられた顔をする隣人にまた温度差を感じそうになったその時、隣人が口を開いた。