愛恋縁一方的愛情劇
第2章 いじめ?意地悪?愛情!?
惇君はガラスの破片を手に持つと、僕の腕をとり内側の柔らかい方の腕にそのガラスの破片を突き立てる。
「い゛い゛い゛!!」
殉情じゃない痛みが腕を襲う。
何故だろうか…全身がキリキリと痛む。
「痛い?痛い?」
そう聞きながらも、惇君の手は止まらずに、僕の腕を突き刺す。
惇君も手に力を入れているのか、惇君の握る拳からは血が滴り落ちていた。
グサッグサ!
「あ゛ぁ!!やめてぇ!!」
僕の腕からは大量の血が流れ出しては地面に滴り落ちる。
「いいか?これは、俺の痛みだ!!あと、俺のだっている印。痛くて当たり前だよな、だって俺はこの突き刺さったガラスの痛みよりも、お前が彼氏を作ったことがあることに、涙が出るほど悔しかった。」
…悔しかった、そう言ったとき、一滴の涙が僕の腕に落ちた。
僕も痛みで泣いているけど、…この涙は惇君のだってすぐ分かった。
さっき見たとき、目が赤く見えたのは、惇君が泣いていたからだって分かった。
何故そんなに傷ついているのか、何故泣くほどの事なのだろうか?
僕は、痛みで頭が眩む中、頭が悪いなりに考えていた。
パリン…
惇君は手にしていたガラスを地面に落とすと、僕をまた抱き締めた。
僕の腕は、中の肉が見えているのではないかというくらい血が滴り落ちた。
ガラスで刺された、腕は力を入れても重力に逆らえず落ちてしまう。
そのまま、抱き締められると、腕が痛かった。
だけど、ずっと考えていることに夢中で、痛みなんて忘れられた。
痴漢の件もそうだけど、これはいじめか?
いじめだよな。
そんな恋愛みたいなんじゃないよな?
だって…、惇君はいつも僕と一緒に居るのは腐れ縁って言うし、今までただの幼なじみだと思ってたのに。
ううん…あっちが、幼なじみって思ってるはずなのに…
「惇君は…僕が…好きなの?」
窮屈な空間で、何とか隙間を作り、疑問に思ったことをポツリポツリと聞いた。
惇君は、はぁっと溜め息をつくと、
「…そうだ。」
…そうなんだ…
惇君…が、僕を好き…
知らなかった…本当に知らなかった。
「今日の全部愛情だから。」
惇君は耳元で弱々しく呟いた。
やめてくれよ…、愛情なんて言ったら振り切れなくなっちゃうじゃないか。