愛恋縁一方的愛情劇
第1章 遊び人は凶暴な狼
コンビニに入ると、いくつもの冷たい視線が僕に刺さる。
「すっ…すいませんっケホっ」
はぁ…はぁ…
あー、咳止まらなそう…
「ケホっ…」
僕は駆け込んだコンビニで温かいお茶を買うと、電車に乗るために駅へと歩いていく。
「…ほぅ…」
グビグビと熱いお茶を飲んで、溜め息を吐けば白い息が空に伸びていった。
駅について、近くにある古いベンチにちょこんと遠慮がちに座る。
「…さむー…」
寒さに肩を抱く。
…電車、来た。
僕は、人間が敷き詰められた電車に無理矢理詰め込むように乗車した。
「きつー…」
あまりにきつすぎて、息するのも大変だ。
僕は、電車の入り口でさまよっていた。
やっと落ち着いた体制が、入り口の窓ガラスに身体を預けるように寄りかかるという体制だった。
「はぁ…はぁ…」
違和感に気付いたのは、僕が乗車してから4、5分後だった。
「はぁ…はぁ…」
荒い息が…僕のすぐ後ろにある。
「はぁ…はぁ…」
荒い息は、ゆっくり僕のうなじに近付く。
僕の枝のような細い腕で、窓ガラスに手を付いて、荒い息から避けるように身を捩る。