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ヒーロー

第5章 決意

紗綾がぴっ、と三本指を立てた。


「え・・・?」


「あたしも入ります。 だって美術部でしょ? カナくんの絵が間近で見れるチャンスだし」

・・・いや、まだ入るわけじゃ・・・。

「入部届け、あとから出しに行きます」

「おい、紗綾―」

「あっ、昼休み終わっちゃう。 それじゃまたあとで!」

城川さんの言葉を遮り、紗綾が席を立つ。 そして食堂を出ていった。


「・・・・・・」
「・・・・・・」


気まずい沈黙が流れる。


「・・・で。 入部すんのか、しねぇのか」

沈黙を破ったのは城川さんだった。



僕はテーブルの上の入部届けを手に取った。



「入ります」


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