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どらくえ3

第5章 レーベからいざないの洞窟へ

「いっくよぉー!!」

リサがハイテンションに叫ぶ。

「スイッチ、入ってんじゃねぇか?あれ。」

イースがアベルをちらりと見ながら言う。

「…やばいかも。」

アベルは魔法使いよりもスイッチが入ったリサの方が危険だと思った。

リサの周囲の気温が下がる。
リサは左手を前に突きだし、右手は掌を上に向け、右肩に担ぐような姿勢をとった。

右手の上の空気がキラキラと輝いている。
ダイヤモンドダストだ。
空気中の水分が気温の極端な低下で、水から氷に変わっているのだ。

魔法使い2体はリサの異様な殺気に気付いたのか、リサに注目し、攻撃の矛先をリサに向けた。

『メラ』!

一体がリサに火球を放つ。

「あっまーいっ!」

リサは不敵に笑うと呪文を唱えた。

『ヒャド』!

リサの右手に瞬間的に冷気が集まり、氷塊が形成される。

リサは左手で標準を合わせ、飛んでくるメラを迎撃すべく、右手を前方に素早く伸ばして、氷塊を発射する。

ボッ、ドガッッッ!!

最初の音は氷塊によって火球が消し飛んだ音。
次の衝撃音は、メラを放った魔法使いが氷塊で吹き飛ばされ、木の幹に身体を打ち付けた音。
更に魔法使いの身体は氷に包まれて凍り、絶命した。

『メラ』!

残り一体がリサの隙をついて、火球を飛ばす。

「なめんじゃないわよ!」
リサは次の呪文詠唱中であったが、冷気を帯びさせた左手で、メラを弾き飛ばした。

「…怖えぇ!」

イースとアベルは巻き添えを食わないように陰で様子を見ている。

リサの目付きが鋭くなる。
『ヒャド』!

どがぁああ!

氷塊が飛び、そして最後の魔法使いも、先程と同じように吹き飛ばされ、また絶命した。

「…ふうぅぅぅ」

リサが緊張を解くと周囲の気温が元に戻っていく。

「やったな…」

「ああ、怖かった」

「全く」

アベル、イース、ムタイの三人は魔法使いを倒したことよりも、リサが無事落ち着いたことに安心していた。

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