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どらくえ3

第7章 いざないの洞窟

「封印されている旅の扉があるのは、このほこらから少し北へ行ったところにある洞窟の中。この洞窟はいざないの洞窟と呼ばれています。まあ、アリアハンから旅の扉を通じて、世界へいざなう、という意味が込められているのでしょう。」

老人は一度、息をつく。

「昔、戦争が続いた時代、平和を望んだアリアハン王は他国から容易な侵入を防ぐため、自ら旅の扉を封印してしまった。」

茶を一口すすって老人は続ける。

「その後、戦争は終わり、船での往来が可能になり、旅の扉は次第に忘れられつつあった。しかし、封印の際、いつしか旅の扉が必要になると予見していた当時のアリアハン王は、封印を守ることを家臣に命じた。その家臣が私達兄弟のご先祖様なのです。」

アベル達は静かに老人の話に聞き入っている。

「王の予見していたように、魔王の出現により船での往来は困難となり、いままた、旅の扉が必要となった。もう一度言います。魔王を倒すという志を持つアベル殿。あなたなら封印を解くにふさわしい。」

私達一族の守ってきたもの、それを平和のために使ってもらえるなら私達も報われる、そう締め括ると、老人はにっこり笑った。

…封印を解くこと、それは待ち続けたこの老人の一族を封印から解き放つことなのかもしれなかった…。

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