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どらくえ3

第1章 旅立ち

食事を終えて、目標が決まった俺達は、旅に必要な食糧等を揃えに出掛けた。

王様から旅費としてゴールドはもらっていた。

食糧は干し肉等の日持ちのするものを買った。

道具屋には薬草等が売られている。

「アベルは回復魔法が使えるんだったか?」

イースが聞いてきた。

「長老に契約の手解きはしてもらったけど、まだ使えない」

町で一番長生きをしている老人は長老と呼ばれている。

長老は魔法が得意だ。
アリアハンで魔術を志す者は、長老に魔法の契約を手伝ってもらう。

ただ契約をしてもすぐに魔法が使えるわけではなく、知識、経験、精神力や特性によって徐々に使える魔法が増えていくのだそうだ。
俺にはまだ使えないので、よくわからないが、魔法が使えるようになったときは、なんとなく「わかる」という。

「そっか、じゃあ薬草は多めに買った方がいいな。毒消し草もいるな。おやじ、こんだけ買うから負けとけよ」

食糧等の他には松明も買った。
岬の洞窟内は暗い。
ただ道中でも手に入るだろうから、最小限の量にしておいた。

こうして俺達は買い出しを終えて、ルイーダの酒場に戻ったときには辺りは暗くなっていた。

酒場の2階は宿泊出きるようになっているので、ルイーダが泊まっていくように言ってくれたのだ。

俺達が荷物を置いて食事を摂りに1階へ降りると、ルイーダが大きな声で言った。

「主役の登場だよ!アベルとイース!アベルは誕生日で明日から魔王退治に旅立つ!イースはそのお供!めでたい門出の日だ!今夜はわたしの奢り!じゃんじゃんやって祝っとくれ!」

わーっ!と他の客達から歓声と拍手があがる。

ルイーダが俺達を見て微笑んでいる。

「お供?」

イースが自分を指差して聞いている。

「あはは!間違ってないでしょうが、気にしないで飲みなよ」

ルイーダは豪快に笑ってイースの背中をバンと叩いた。

この夜、俺達はルイーダや他の客達と一緒に飲んで食べて歌って過ごした。

次の日の朝、俺とイースはルイーダの酒場を後にして町の外へ旅立った。

俺は、これからの旅にわくわくしていた。

――
「いっちゃった。楽しそうにして、振り返りもしない。まったく、親子そっくりなんだから。」

アベル達を見送るルイーダはそう言うと、ふっとため息をついて、笑ったのだった。

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