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あたしのご主人様!

第2章 ご主人様とピンクローター


 シュウを見上げると、涙でシュウの顔がぼやけてみえた。


「意地悪……」

「そんな甘ったるい声で言われてもなぁ」


 ようやく窓が閉まってほっとしていると、シュウが前方を見ながら言った。


「着くよ」


 軽い渋滞を抜けると、『リオン』と書かれた看板が見えた。車はその信号を左折する。

 さらに広い道を抜け、車はようやくショッピングモール『リオン』に到着した。

 三階建ての広い建物、その周りを囲むようにして駐車場がある。

 今日は土曜日、さらにできたばかりというのもあって、リオンはかなり混雑していた。駐車場内ももちろん車が溢れていて、なかなか停められない。

 早くおもちゃの振動を止めてほしい。

 あたしの頭の中はそればかりで、他のことなんて考えられなくなっていた。

 感じすぎて意識が朦朧としてくる。汗ばんだ手で自分の体を抱きしめ、目をぐっとつぶって高ぶった体を鎮めようと必死だった。

 ようやく空いている場所を見つけた。建物からはだいぶ離れた場所だ。

 シュウは慣れた手つきで、スムーズに車をそこにバックで収めた。

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