
あたしのご主人様!
第3章 ご主人様とピンクローター 2
遠慮というよりは拒否なのに。
歩くたびに内股がこすれ、車の助手席に座っていた時とは違う感覚が下半身を襲う。自然と頬が上気し、もどかしいくらいの刺激に、徐々に息が荒くなる。
たまらず立ち止まった。
「もう、歩けない……」
「おぶってやろうか?」
「や、やだっ」
二十歳にもなってそんなの、恥ずかしすぎる。しかも、人の多いショッピングモールなんかで。
「じゃあ歩けよ」
促され、進み始めるシュウのあとをどうにか追う。
シュウはエスカレーターに乗った。先ほどまでのいろいろ見てまわりながらブラブラする、という目的のないショッピングというよりは、どこか目的があるような歩きっぷりだ。
「どこ行くの?」
「映画でも見ようかなと思って」
映画という提案に、あたしは少しほっとする。
映画なら歩きまわらなくてすむし、おもちゃを入れられた状態でもそれほど苦痛にならないかもしれない。
「見たいのある?」
尋ねられ、あたしは何日か前にCMしていたラブストーリーを挙げた。
「愛華らしいな」
そう言いながらもシュウも賛同してくれた。
あたし達は三階の、シアタールームに向かった。
