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あたしのご主人様!

第3章 ご主人様とピンクローター 2


 広いシアタールームの中は、薄暗かった。まあ、映画館なんだし当たり前だけど。

 あたしはシュウに手を引かれながら、人が二人すれ違える程度の幅しかない階段を下りていく。

 ぽつぽつとある照明を頼りに、一番後ろの、チケットに書かれた席に向かった。

 上映開始の時間より多少早めにチケットを買ったけど、話題にのぼっていたのもあって席はそこそこ埋まっていた。

 ざっと見回してみると、カップルばかりが目に入った。


「ほら、座って」


 ようやく席にたどり着いて、シュウはさっさと座ってしまうけど、あたしはなかなか座れなかった。

 アソコの中でうごめくおもちゃが気になって、立ち尽くしたまままごついてしまう。

 シュウに促され、おずおずと座席にお尻をつけた。


「あ……っ」


 柔らかいソファー。だけど、座った時のかすかな衝撃でも、おもちゃは中で少しだけずれて内壁をえぐる。

 びくんと肩を震わせて妙な声を出してしまったあたしに、シュウはたしなめるように言う。


「うるさい。周りに聞こえても知らないぞ」


 あたしは慌てて両手で口を抑えた。

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