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Memory of Night2

第2章 春


 だけれどアルバイトを一切禁止してしまうのは、宵にしてみれば少し過保護すぎな気がした。

 それだけならまだしも、宵が三年に進級してからは宵に携帯電話を買い与え、こまめに連絡をすることを約束させられている。

 これはおそらく本当に宵の素行が原因で、半年ほど前に不良たちと乱闘騒ぎがあって、危ない目に合わされたことがあったからだろう。

 それらのことがあるせいで、とにかく今の宵にはモデルのバイトを引き受けるくらいしか金を稼ぐ手段がなかったのだ。

 これも一応弘行や志穂には秘密にしているのだけれど、身体的な負担は今のところ少ない。


「まあ、俺がとやかく言うことでもないけど、そこまで宵がご両親に対して気を遣うこともないと思うけどね」

「……遣ってねーもん」


 視線をわずかにそらしてそう返答する宵に、晃はそれ以上何も言わなかった。

 変わりに宵の腕を軽く掴んで引き寄せてから、唇に触れるだけのキスをする。


「行ってらっしゃいのキスはいい嫁の仕事の一つ」

「ばーか」


 毒づく宵に一瞬だけ笑顔を零して、晃は鞄を肩にかけて玄関に向かった。

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