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Memory of Night2

第3章 名前


「よーし。なら、テストの説明をするぞ」


 そうして体を馴らし終えた宵に柳沢が言ったのは、宵の予想の斜め上をいくものだった。


「一対一で大西と勝負しろ。勝てたら補習を免除だ」

「はあっ!?」


 てっきりシュートを何本か入れさせられるだけかと思っていた宵は、唖然としたまま柳沢が指差す人物を見つめる。

 こっそり、宵と柳沢のやり取りに聞き耳を立てていた晃も、突拍子もなくあがった自分の名前に振り向いていた。


「なんで晃と勝負なんだよ? テストだろ?」

「け・い・ご。教師になんて口の効き方だ」


 ぴしゃりと跳ねのけられて、宵はむっと唇を尖らせる。


「……なんで晃との勝負がテストなんですか?」

「テスト難しくていいんだろ?」

「いいけど……」


 確かに運動神経がずば抜けていい晃との勝負じゃ難易度はかなり高そうだけれど、突っ込みたいのはそこじゃない。


「大西のフォームは綺麗だからな。クラス全体のテストは終わったし、せっかくなら前に出て模範になってもらいたい」

「それをなんで俺のテストで……」

「おまえもだ。練習で見ていた限りフォームに問題はないし、大西と一緒に模範になってこい」

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