
Memory of Night2
第3章 名前
すぐに晃は宵を追って隣に並ぶ。
宵はボールを奪おうと伸びてくる晃の右手をステップで交わし、左腕のガードと共に体を反転させた。
軽快な身のこなしで晃の脇をすり抜けて、そのままゴールへ。
これで同点だ。
「うわぁすごぉい!」
「頑張ってー宵くん!」
「晃くぅん!」
バドミントンそっちのけで網に群がる女子達。
ヒートアップしていく館内で、二人は続々と点を入れていった。
「すげー。晃相手によくあそこまで張り合えるなぁ」
「宵って何気運動神経いいからな」
「……あーあ。また二人の株上がんじゃねーの?」
二人の勝負は女子の視線を釘付けにしている。
バスケが上手くていい勝負、というのも人気の理由の一つではあるだろうが、やはり二人には人を惹き付ける華があるのだ。
「みんなーそろそろ片付けてよ!」
ネットは次の時間も使うということで、ラケットと羽の片付けを促す学級委員の言葉も全力でスルーな状況。
菊池明(きくちあかり)は盛大にため息を吐き出し、二人の勝負に視線を向けた。
(先生の指示があるまでいっか)
そうして自分も観戦を始めた。
