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Memory of Night2

第3章 名前


「やーだね。補習なんてやってられっかよ」


 片足を軸に一歩後退。

 すかさず間合いを詰めてくる晃を振り切り、思い切りジャンプした。

 そして、自分のゴールに向かい、ボールを放る。


「……っ」


 意図に気づき、晃もとっさにジャンプしてボールに両手を伸ばしたが、指先を掠めただけ。

 宵の立ち位置からゴールまで、八メートルはある。ボールは大きく弧を描きながら、籠へと向かっていった。

 生徒と教師が固唾を飲んで見守る中、ボールはゴールの縁に当たり――落ちた。

 シュート成功だ。

 試合終了を知らせる笛の音が、館内に響き渡る。

 エンドラインより後方からのゴールなので宵には三点が加算され、その瞬間、宵の勝利が確定した。

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