
Memory of Night2
第4章 同居
嫉妬深い晃のこと。自分とあの女との関係を疑われているのではないかと一瞬思ったが、晃の表情は特に不機嫌そうではない。普段通りだ。
宵は首を捻りながら答えた。
「確か、如月……春加だったかな。なんで名前なんか聞くんだよ」
「いや……」
そこで一度言葉を濁す。すでに視界から消えてしまったスポーツカー。晃の視線はまだそちらに向いていた。
それからようやく宵の方へと向き直る。
記憶を辿るように視線を宙に漂わせ、晃は言った。
「俺、あの人どこかで見たことある気がするんだよね」
「…………は?」
「まあ、確かに化粧濃かったし、顔を見たのも一瞬だけだったから確証はないけど。……如月春加、って名前もどこかで……」
「マジで? ……おまえもどっかでスカウトされたとか?」
「されてないされてない」
晃は思案するように腕を組んだ。
「……女好き」
「なんでそういう話になるの」
宵からの突飛な言葉に、晃は失笑する。
「あんな奇抜な格好の女、一度見たら忘れねーと思うけどな。周りが女ばっかだから、おまえの印象に残ってねーだけなんじゃねーの?」
「俺の周りにだって、ああいうタイプの女性はあんまりいないけど」
