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Memory of Night2

第4章 同居


 得意げに笑う晃に、宵が突っ込みを入れる。確かに、と思う部分はあるけれども。

 それから改めて部屋を眺め、宵は小さくつぶやいた。


「……本当に綺麗さっぱり片付けちまうつもりんだな、部屋。いいのかよ?」

「いいんだよ。宵の家に行くんだから、もう必要ないだろ?」


 晃はなんの迷いもない様子で、そう言い切る。

 宵は複雑な気分で目の前の恋人を見つめた。

 今日、晃が実家に帰ってきた目的は、部屋を片付けるためだった。

 一週間ほど前に、突然「一緒に住んでいい?」と宵に尋ねてきたのだ。一言で言えば同居がしたいと申し出てきた晃を、最初は冗談を言っているだけかと思った。

 晃にはきちんと両親がいるし、住む家も部屋もある。確かにここ最近宵の部屋に泊まりこむことは多かったが、泊まりならば二年の頃からやっていた。

 まさか本当に部屋を片付け、必要なものを宵の部屋に持ち込み、本格的に同居を始めようと考えているなんて、微塵も思わなかったのだ。

 けれども一緒に住みたいと申し出てきた晃の瞳は真剣そのもので、冗談じみた色などまったくなかった。

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