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Memory of Night2

第4章 同居


 違和感。

 しばらく写真たちを眺め、宵はようやくその違和感の正体に気付いた。

 ――どのページを見返しても、家族で揃って写っている写真がないのだ。

 いつも晃一人か、母親か父親、どちらかと二人きりで写っている写真ばかりが並んでいた。

 そして多いのは、やはり母親だ。


「数はちょっと少ないけど、あるだろ? 父さんの若い頃の写真。今よりもっと俺に似て……」

「――やっぱ来んな」

「え?」


 相変わらず宵に視線は向けず、片付けの作業をしながら話しかけてくる晃の言葉を、宵は遮った。

 驚いたように晃が顔をあげる。

 宵はアルバムを閉じ、晃に返す。

 それを受け取りながら、晃は尋ねた。


「なんで?」


 宵は答えない。


「……俺が一緒に住んじゃ迷惑か?」


 一瞬、答えられなかった。

 宵は視線を逸らし、それでも頷いてみせる。


「迷惑、だよ。夜全然寝かせてくんねーし、嫉妬してくるし、変なプレイばっかしたがるし、毎日一緒に暮らすようになったら俺の体がもたね……」


 けれど、言葉は最後まで続かなかった。

 振り向き、晃の瞳と目が合った瞬間、宵は押し黙ってしまう。

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