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Memory of Night2

第4章 同居


 照らいも屈託もない、純粋そうな笑顔を浮かべて、晃はそんな言葉をくれる。


「宵は俺と一緒にいる時間、幸せじゃない?」


 そんなふうに返されると、もう何も言えなかった。

 幸せでないはずがない。

 晃と過ごす時間は、日に日に増えていっている。

 休日に会う時間が増え、どちらかの家に泊まる時間が増え。

 夜同じベッドで眠り二人で朝を迎えることに、今じゃなんの違和感もない。むしろ一人で朝を迎える方が、違和感を感じてしまっているかもしれない。

 そんな日々が幸せだった。けれども反面、おそろしくもあった。

 二人でいる時間が増えれば増えるほど、お互いに依存してしまう気がして。

 ぬるま湯に浸かっているような穏やかな日々から抜け出せなくなりそうで、それだけが不安だった。

 晃の唇が、再び宵のそれに重なる。そうしながら髪を撫でられた。

 激しくはない。唇を舌の先で舐め合うだけのしっとりとしたキスは、心地よかった。

 けれども晃はなかなか唇を離さない。

 首の下に腕を差し込まれ、強く唇を吸われ、さすがにやりすぎな気がしてくる。

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