
Memory of Night2
第4章 同居
寝返りを打って促すと、晃はようやく口を開いた。
「――宵のご両親てさ、どんな人?」
「え?」
「志穂さんじゃなくて、血の繋がったお父さんとお母さん」
その質問は、宵には意外だった。今まで晃に自分の両親について尋ねられたことはなかったからだ。というよりも、出会うより昔のことを尋ねられたこと自体あまりなかった。
だからすぐには返事ができず、幾拍かの間が空く。
「両親……か」
やがて小さくつぶやいた。
姿形や声や仕草は一つ一つ鮮明に浮かぶのに、当たり前のように一緒に過ごしていた日々が、なんだかとても遠く感じる。
「この間、宵の旧姓を初めて聞いた時思ったんだ。俺、宵のことなんにも知らないんだよな、って」
「そりゃそうだろ。まだ話すようになって、一年も経ってねーんだもん」
それなのに、いつの間にか恋に落とされ、今、こうして同じ部屋にいる。アルバムを見て、一緒に住む話までしている。
考えてみれば、縁とはなんて不思議なものなのだろうと思う。
「両親かー。とりあえず俺の容姿は母親似だな」
「それは一目見ればわかる」
