
あなたの為に背伸びして。
第1章 冷たくされるのは嫌い。
10分か…
合鍵は持ってるから勝手に入って来るだろう。だから寝てたって構わない。
けど、眠いのに、どうも眠る気にならなかった。
マキに愛想尽かされるわよ…
雅哉の台詞が妙に引っ掛かった。
ホントに嫌われたらどうしようか。
ズルズルとベッドから下り、姿見の前に立った。
目の下のクマ。
むくんだ顔。
ボサボサの髪。
身体は服で隠れているが、いい状態ではないことに変わりはない。
どうにかしなきゃ。
目を背けたくなる現実とはまさにこのことなんだろう。口では「どうにかしなきゃ」といいながらも、結局実行した試しがない。
ガチャッ
鍵の開く音がした。
