
あなたの為に背伸びして。
第1章 冷たくされるのは嫌い。
雅哉は私の世話係みたいなもん。マキから面倒を見るよう頼まれてるらしい。私と同じ大学なんだけど、出身高校は違う。一体どこでマキと知り合ったんだろう。
雅哉の説教を右から左に聞き流すのはいつものこと。妙に責任感が強いからこうして世話を焼くんだけど、ちょっと正直しつこい。
いや、嫌いとかじゃ無いんだけどね。
「…はぁ…そんなんじゃマキに愛想尽かされるわよ」
「…っ!」
雅哉の強烈な一発に私は目を見開いて飛び起きた。それを察したのか、雅哉はフッと笑う。
「気にしてるんだ?」
「…別に」
「嘘ばっかり」
受話器を耳に当てたまま、膝を抱き寄せた。
マキ…
本当に嫌われたらどうしよう。
年明け一発目に会うのに、私…
「…ね、雅哉」
「なぁに?」
「私が、マキと別れたらさ」
