テキストサイズ

月夜に咲く

第6章 月嶋 詩織

日を追う毎に虐待が酷くなった


ちょっとでも反抗すれば
煙草の火を押しつけられる

詩織と伊織の腕と背中には
無数もの火傷の痕があった。

痣が消える日はない


詩織は決意した
父親に会いに行って助けてもらうと


父親の実家はそう遠くない
だか幼い詩織には十分の距離があった
でも伊織の為自分の為と
転けながらも走り続けた。


たどり着いた父親の家
そこには父と新しい家族が住んでいた

幸せそうに抱っこされて笑う子供
その姿を微笑みながら見る母親

詩織は気づいた、
この人はもう他人なのだと、
自分と伊織を捨てて幸せに暮らしてるのだと


涙が溢れる
無我夢中で走る

そこでふと気づいた
伊織を一人あの部屋に残してることを

ストーリーメニュー

TOPTOPへ