私のこと知らないくせに。
第3章 犬と私と猫。
廊下に、並んだのはいいんだけど。
「なんで二人とも、私の隣を陣取ってるの?」
薫くんは、私の隣の男子を押し退けて私の隣にいるし。
春樹くんなんて、まったく列関係なく私の隣にいるし。
「えー?なーんか、さーちゃんの隣落ち着くし♪」
「俺も、お前の隣がいいし。」
「ふふ、なんか嬉しい♪」
クラスの皆の視線は感じるけど。すぐに
何かに怯えて前を向くし。気にしないよーにしよう!
そして、いよいよ始業式。
「こら、お前ら席あっちだろ!」
「は?んなもん関係ねーから、どけ」
「ちょ、おい!」
「ごめんねー先生。俺らこれから紗那と一緒だから♪」
男女別々の席までくるんだこの人達。
とかいろいろ考えていると。新入生代表の挨拶らしい。
『新入生代表の木籐 春樹くん。よろしくお願いします』
え?春樹くんが新入生代表なの?
でも、学年トップじゃないとならないはず…。
「っだりぃな」
「学年トップなんて取るからでしょ」
え、やっぱり学年トップなの?
私が独りで驚いてる間に、春樹くんはステージに登る。
周りがざわざわと騒がしくなる中
春樹くんは、堂々とマイクを掴んで一言。
「静まれ。」