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私のこと知らないくせに。

第2章 助けて。




ガシャガシャッ


「先生!様態がだんだん悪くなってます!!」

「急いで手術室へ!!」


手術室に向かって運ばれる母。


「お母さん!お母さん!!頑張って!!」

「さ…な」

「へ?…なに、お母さん?」


運ばれる中、無我夢中で
走って母の口元に耳を寄せる。


「やく、そく…守れなくて、ごめん、なさいね」

「紗那さん!ここから先は
手術室なのでここでまっててください!!」

「やだっ…やだ!私も行きたい!!」

「ごめんなさい…でも無理なの」

「嫌だ!嫌だ離して!!お母さん!
お母さん!!まだ、約束守れるじゃない!!」

「紗那さん!!」

「嫌!嫌だー!!お母さん絶対戻って来てよ!」


あの時、母がもう戻ってこないってわかったの

でも、戻ってきて欲しくて。
神様に、一生懸命願った。

でもね?残酷なんだ。
神様は、私の母をかえしてはくれなかった。


「……ぅ…そ…」

「力を尽くしたのですが…」

「すいません…ちょっと出ていってもらえます?」

「すいませんでした…」

「うるさい!出ていって!!
謝るなら、お母さんを返してよ!!」


カチャッ


静まりかえった部屋でもう暖かくない母に触れる。


「ごめんなさいお母さん。
私が代わりに死ねばよかったのに

あの時、もっと早くお母さんを助けてれば」


もっと早く、足が動けば。


「もぅ、お母さんに触れても冷たいよ…

なんで、なんでなの?
どーして私の大切なもの全部奪うの??」


神様なんて嫌い。


「お母さん…ぅ…約束なんていいから

戻ってきてよぉ…ゃだ……おかあ、さん
…目開けてよ…いやぁあぁああああ!!」


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