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狐の嫁入り

第2章 不思議な出逢い

「待って。月子、俺に『名前』を贈ってくれるか?」

彼は月子の腕を掴んで引き留め、そう言った。

「え・・・?どうして?」

「俺には『名前』がないんだ。」

「じゃあ・・・“ギン”はどう?」

「―“ギン”・・・?」

「そうよ、あなたは“ギン”。」

彼女は花のように微笑んだ。

「ありがとう、大切にするよ。」

「―月子姉さ~ん!!」

「また逢いましょう、ギン・・・!!」

月子は振り返りざまに微笑み、今度こそ帰って行った。

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