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IF……餃子を食べたら?

第2章 時生さんに餃子を食べさせてみた

~カラン~

一「時生ちゃん、お疲れー」
志「うぃーす」

黒猫のドアを勢いよく開けた。

夏「やぁ。いらっしゃい。研修はもう終わったのかい?」

時生さんが優しく微笑みながら問いかけた。

一「うん。終わった終わったー。もぉ!なんなの?お料理講習会って!あー疲れた。時生ちゃん、なんかちょーだい」
志「新堂さん考案なんだろー?日々のミッションから頭も体も開放するには料理が一番とかなんとかかんとか……あ、夏目さん、俺もジンジャーハイボールお願いします」

(す、すごい……いつの間に話あわせたの??)

夏「はいはーい。ちょっと待っててね。愛実ちゃんも飲むよね?」
愛「はい。あ、お手伝いします」

急いでカウンターの方へ行こうとしたのだけれど。

夏「いいのいいの。愛実ちゃんもお疲れでしょ?」

時生さんは手際よく3人分の飲み物を作ってくれた。

夏「で、何を作ってきたの?」
愛「…餃子です」

(なんかドキドキしてきた…)

一「刻む、こねる、包むの動きが集中できて、頭空っぽになるんだって」

私の心中を察した一条くんがさらりとフォローしてくれた。

夏「それで3人でお料理クッキングしてきたんだ?それはお疲れさま」

時生さんがにっこりと微笑む。

(あぁ…、そんな顔しないで下さい……)

これから起こるであろう事を想像すると
心が罪悪感でいっぱいになってしまう。

一「でねー、これ時生ちゃんへの差し入れ!」

ポンっと、形それぞれの餃子を差し出した。

夏「うわー随分色んな形があるんだねぇ……」
一「このいびつなのが、河合さんが作ったのでね、このどら焼きみたいなのがモジャか作ったやつ」
志「おい、天パ。どら焼きって言うな。これは晴樹さま考案のUFO餃子だ」
夏「ふふ、UFO餃子ねぇ…」
一「僕達、試食でいっぱい食べちゃったからさ、時生ちゃん食べなよ」

ドキッ!
心臓がうるさいくらいに居場所を主張してくる。

夏「ん…じゃぁ、いただこうかな。ね、愛実ちゃん?」
愛「は、は、はい」

時生さんはパクリと餃子を口へ運んだ。

(あ、食べちゃった…)

一「やったー!!」
夏「ん?どうしたの?」

時生さんが不思議そうに首を傾げる。

一「ううん、何でもないよー」
志「夏目さん、ナイスっす」

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